韓国の辱‐3 攻撃する

辱の最も根本的な機能、相手を攻め撃つこと。ここから発生して虚勢を張り、感情表現する機能を得ていますが、この攻撃力、破壊力の強さというものは韓国語圏内にいてこそ理解できるものであると思います。

2019年は芸能人が複数自殺したことで社会が憂うつな雰囲気に包まれた事実がありました。韓国でも日本でも多くの分析を様々にしているところにありますが、日本的な視点からはネット上の書き込みでストレスを受けるとは軟弱だ、練習生制度がメンタルを弱くする、などという意見を多く目にしました。

様々な要因の一つに、この辱というものが大きな位置を占めていることを、日本の社会環境からは想像ができないと思います。

年末ですから書棚の整理をしながら本をめくっていたころ、ある日本人作家の著書に日本における最大の悪口は「親の顔が見たい」と出ていました。

韓国では辱を伴った激しい言葉による戦いがここそこで常に繰り広げられているのに比べて「親の顔が見たい」という軽蔑程度で相手に打撃を与えられる日本とはいったいどういう精神構造なのだと、在韓22年目で色濃く韓国文化に浸っている私には軽い衝撃でした。

思い出してみると幼いころに接した「でぶでぶ百貫でぶ」「お前の母ちゃん出ベソ」は、実際、話にならない、辱にならない罵りです。これがなぜ罵り言葉になるかについてはいくつかの説があるようですが、しかし音律まであり、これに接して失笑が漏れるのは私だけではないのではないでしょうか。

韓国には「卑俗語辞典」がありますが、日本には似て非なる「俗語大辞典」が存在しています。読む人はこの俗語大辞典を絶賛しており、思うに威勢のいい江戸言葉やら痛快で軽快な言葉を扱う面白い内容となっているのだろうと。それに比べ卑俗語辞典は辱そのもので非常に気分が悪くなるものですが、その表現の多彩さには舌を巻きます。

この頃、韓国では패드립ペドゥリㇷ゚という言葉が登場しています。悖倫(ペリュン) +(ア)ドリブといういう意味です。悖倫とは倫理に背することを言い(背倫)、主に親を卑下する言語暴力を指しています。これは言葉の暴力の中で最も卑劣な行為と捉えられており、孝を重要な徳目とする儒教的な考えでは非常に忌み嫌う行為で、このペドゥリㇷ゚に対する訴訟も目につきます。

言葉による激しい攻撃を可能にする韓国の辱。この辱でネット上で公に中傷誹謗される気持ちというのは韓国語圏内に住んでいないと想像のつきようがありません。少し例を取ってみましょうか。こんな表現をするんです。

「脳がクソまみれだ」「気違いアマめ」「癇癪持ち野郎」、こういう表現が口からするすると出てきます。こんな辱は小手先調べに過ぎず、また、こういった表現はああ言おう、こう言おうと考えて言う言葉ではなく、一つのフレーズになっています。卑俗語辞典があるほどの韓国では辱のボキャブラリーも多様です。

日本語圏からは絶対に見えない韓国の言葉の世界、そして精神世界。次回はもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

韓国の辱‐3 攻撃する」への4件のフィードバック

    1. ㅎㅎ sayuriMさん、お元気でらっしゃいますか?先回のお葬式で私の中で韓国がさく裂したように感じています。今までたまっていた韓国的要素が何かの刺激で文章として出てこようとします。とはいうものの、来週の火曜日で今年の勤務が終了しますので、落ち着いて文章に向き合えときはまた来るのでしょうか?という状況ですが、これが私のライフワークかな、という気もしていいます。sayuriMさんが韓国にライフワークを持っておられるようにですね^^

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  1. こんにちは。
    文大統領が日本に向けて「盗人猛々しい」的な発言をしましたが、公人でも相手を罵るような発言をするのは文化の違いからなものなのかと考えました。
    もしそうだとしたら、直接的に感情を表さない日本人はその言葉を捉えて怒りを増長させてしまっているのでしょう。

    いいね: 1人

    1. keiさん、そうなんですよね、大陸からの流れの文化圏で日本と韓国は本当に共通点が多いのは事実ですが、しかし、やはり、異なる面を互いに持っているんですね。韓国は感情を表現する国民性があるので、公の場でもふとした時に出てしまうことも多いと思います。韓国で20年を過ぎましたが、まだまだ驚くようなことが沢山あります。できれば後に文を上げたいと思いますが、ソウルで全斗換元大統領の銅像が披露されたところどのような反応を市民がしたかなどを見ると、日本に対する行動の意味が分かってきたりします。互いに存在しない文化風潮を持っているので、理解が難しいんですね。私は自分の目で見たものを日本語圏に沢山説明してきたいと思っています。

      いいね: 1人

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